郷土文化 通巻160号(綿布役女人数書上帳/江戸川乱歩/魯西亜國衣類器物披露来由書/如来教の思想と信仰など)

2019年4月4日

郷土文化 通巻160号
郷土文化 通巻160号

目次

秀次自害と淀の方…………………………….瀧 喜義(1)
「山田長政の出自」考説……………………….水谷盛光(10)
歌人・上田仲敏・甲斐子(二)……………………植松 茂(27)
尾張藩における「綿布役女人数書上帳」…………..津田優香(41)
名古屋の探偵小説家(二) 江戸川乱歩……………..斎藤 亮(51)
「魯西亜國衣類器物披露來由書」(復刻)…………………(57)
〔解説〕「魯西亜國衣類器物披露来由書」について….水谷盛光(79)
〔新刊紹介〕『如来教の思想と信仰一教組在世
時代から幕末期における―』………水谷盛光(80)

平成3年発行 80ページ

内容について

「尾張藩における「綿布役女人数書上帳」」には、寛政三年(1791)に、藩財政の窮乏化と木綿の家内生産の普及を背景として、古代の調を参酌して創設された綿布役銀制に対応するために作られるようになった「綿布役女人数書上帳」について記されています。主に、江南市の伊藤済氏蔵の寛政三年丹羽郡中奈良村の女人数帳の転記になっています。

「名古屋の探偵小説家(二) 江戸川乱歩」では3歳から15歳までを名古屋で過ごした江戸川乱歩と名古屋の関りを中心に記されています。特に「柘榴」を乱歩の作品のなかで一つの区切りとなる重要なものと位置付けてあります。

「「魯西亜國衣類器物披露來由書」(復刻)」および解説は、文化十年(1813)にカムチャッカに漂流した小栗重吉が帰朝後頒布した「魯西亜國衣類器物披露來由書」を昭和十年の慰霊祭に際して復刻頒布するとともに、堀川柳人による付録を合わせて収録して、同年12月に安藤次郎によって発行されたものが復刻収録され、1ページの解説が付されています。小栗重吉については『船長日記』『尾張漂流譚』に詳しく記されているそうです。

「〔新刊紹介〕『如来教の思想と信仰一教組在世時代から幕末期における―』」では、享和2年(1802)年に創唱された「幕末維新期の民衆宗教」の第一号である「如来教」に関する集大成ともいえる同署について紹介されています。特徴として、(1)金毘羅侵攻との関係についての分析、(2)共同体的な信頼関係の解体時期に如来を媒介とする新たな信頼関係の構築をめざす思想としての如来教の把握、(3)同時期における宗教思想の歴史的意義をあらたなありうべき人間の信頼関係を展望しようとする思想としてとらえていることを挙げてあります。