あれこれ(マジック・話芸・外食)
今はテレビを見なくなりましたが、子供の頃楽しみだった番組の一つにマジシャンが登場してくるようなバラエティ番組がありました。
種を見破ろうとして見破ることができなく、どう考えても無理なような驚きを与えてくれるのがマジックなのだと、子供ながらも理解していました。けれど、大きくなって、一番楽しみになったマジシャンはマギー史郎さんでした。登場時間のほとんどは、ずるをしたことがわかるような方法で初心者向けのマジックをみせ、最後に種のわからないマジシャンらしい少しだけ高度なマジックを見せて終わるというパターンでした。
マギー史郎さんの面白さは、同じネタを繰り返し演じても、ついつい笑ってしまうような見せ方や話芸の巧みさにあったと思います。東北弁に近いボクトツな口調で、種明かしをしながらマジックを見せられて、穏やかで楽しい時間を与えてくれました。
同じような芸風は、ナポレオンズや、漫才の春日三球・照代さんにも感じました。
マジックの技そのもので勝負をしようとすれば、常に新しい技術を身に着けていく必要があり、次第に高度化していく必要があるでしょう。けれど、毎回同じネタを演じていながら、楽しい空間を作り上げる技術があれば、無理に技術を磨く必要なしに、飽きられることなく、人気を維持できます。
同じようなことは、Youtube動画の作成にも言えるように思えます。新しいネタを考えてどんどん高度化していく方向では生き残りは難しく、楽しい会話や、安らかな時間を、いつも同じように提供していく方向のほうが、長続きして、飽きられることも少ないのではないでしょうか。
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外食店について思うところが2点あります。
1点目は、長続きする店は、行列のできる店だったり、口コミサイトで極めて高い評価を受けている店というよりも、無難な味を提供してくれる、気軽に行ける店なのではないかという点です。テレビや雑誌などを見ていると、すごく美味しい店こそが目指すべきところのように思えてきます。けれど、私たちがよくいく店を考えてみると、飛び切り美味しいというよりも、まずまずの味の料理を食べることができる確率の高い店になっています。行列ができていて待たされた経験もなく、おおよそテーブル席に座ることができる程度の繁盛ぶりです。店を出すなら、これぞという料理を出す店よりも、そういう平均点より少し上の気軽な店を目指したほうがよいのかもしれません。
もう1点は、大衆から人気の高い優良店を買収して、つまらない店にしてしまうグローバル資本についてです。具体例をあげると洋菓子店の不二家やココイチがあります。
創業者の理念が生きて、幸せを人々に提供できていた優良企業は、大資本の傘下に入ることによってつまらない利益追求ばかりする会社へと変貌して、衰退していきます。どうしてそんなことをするのか、なぜ、元々の良さを維持できないのかと、私は思っていました。けれど、ついにその謎が解けました。
グローバル資本にとって、以前の不二家やココイチのような企業は、営利追求活動に支障をきたすような存在です。人々を幸せにするような優良企業が存在されていては、そのような企業に合わせていかなくてはならなくなります。それは、利益率の低下につながります。またそうした優良企業を潰しておかないと、大衆に提供する製品のレベルが上がってしまい、ヒエラルキーに狂いが生じてしまいます。彼らが優良企業を手に入れる意図というのは、優良企業そのものが欲しいのではなく、邪魔な存在を消したいという理由のほうに重みがあるのではないでしょうか。
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