集団化することで有利になる
今日の話題は、集団化による生存競争での優位性の確保についてです。
生物は単細胞生物から多細胞生物へと進化しました。多細胞生物は、さまざまに分化した細胞を生み出すことで、生命の能力を大きく拡大しました。
もう少し大きいスケールになると昆虫たちがいます。
『ハキリアリ』によると、アリ、ハチなどの社会性昆虫は、集団を作ることによって、優位性を獲得し、単独行動をする昆虫たちよりも、生存に有利な環境を占めているそうです。ここでも個体の機能は分化しています。
人間界を見ると、狩猟採集者たちは単独性が高く、農耕民たちは集団化が進んでいるとみることができます。ブッシュマンやヘアーインディアンは、1家族から数家族程度からなる集団を、そのときどきで組み換えながら広い土地にまばらな人数が住んで移動生活をしています。農耕民たちは、定住し、狭い土地に多くの人びとが住んでいます。前者は、制度や儀礼が未発達であることを特徴としており、分化が進んでいません。農耕民の社会では制度や儀礼が発達していき、階級が生まれきます。勝ったのは農耕民です。
農耕民の中でも、集団化が進んでいきます。『逝きし世の面影』に描かれた江戸時代の農民や手工業者たちは、作業時間をだれに管理されることもなく、自らの判断によって生産し、生きています。そうした暮らしは、文明化が進むほどに難しくなり、雇われて時間管理をされながら賃金を得る生き方を選ばざるを得ない状況が進んでいきます。多細胞生物の細胞や、社会性昆虫の個体のように、全体像を見えないままで割り当てられた役割をこなすだけの生活が待っています。
こうした集団化と民主主義とは根本的に相容れません。けれど、文明は集団化を進める者たちが牛耳っています。だから、民主的な社会など実現されるはずもなく、投票率が上がるはずもないのです。
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