郷土文化 通巻147号(マツコ島/大須文庫本蒐書の経緯/郁達夫「沈淪」考など)

2019年4月19日

郷土文化 通巻147号
郷土文化 通巻147号

目次

マツコ島私考………………………………..三渡俊一郎 1
式社井出神社(江南市宮後鎮座)の鎮座地について……木立英世 5
大須文庫本蒐書の経緯…………………………安藤直太朗 8
渚子石城主横地主水正…………………………伊藤正甫 15
東海道鳴海宿の琉球使者……………………….榊原邦彦 21
郁達夫「沈淪」考―「名古屋の小説」覚え書(2)―…..斎藤亮 33
愛知県で発行された戦後雑誌(1)…………………林 眞 39
「名古屋駅前で発掘の砲筒」の報道覚書…………..水谷盛光 46
きようの郷土史稿(2)1月(下)……………………服部鉦太郎 57
会員名簿(昭和61年10月1日現在)………………………..104

昭和61年発行 104ページ(名簿を除く部分は75ページ)

内容について

「マツコ島私考」では、松姤神社(まつごのかみやしろ)に取り上げられている内容と同様に、熱田の呼称松子島について考察されています。

「大須文庫本蒐書の経緯」では、真福寺宝生院の文庫本が収集された経緯がまとめられています。

「東海道鳴海宿の琉球使者」は、慶長14年(1609)以降18回行われた琉球賀慶使の江戸上りのうち、第1回と第3回を除く16回について、史料を中心に概況を考察してあります(24ページと25ページの印刷が入れ替わっています)。

「郁達夫「沈淪」考」では、留学生として4年間を名古屋で過ごした中国の作家郁達夫(ユーターフ)の出世作であり、現代中国小説において大きく評価されている「沈淪」について、特に名古屋に関わる部分が考察されています。余談ですが、同じく「沈淪」と名古屋を扱った中国人からの視点で描かれた文章が「郁達夫沈淪」における名古屋と名古屋人の描写について」(pdfファイル)として公開されています。郁達夫 沈淪 (1921)には、背景と要約が記されています。

以上がこの小説が書かれた背景と要約である。身も蓋もない様な内容だが実際の訳文は文藝的にとても素晴らしい。日本の私小説よりも味わい深いものがある。アジア近代文学の最高峰と言えるだろう。