夫婦は似てくる。現代人はテレビの提供する世界に似てくる。

結婚10年、夫婦は似てくるということを実感している。
特に言葉使いや、考え方、服の着こなしといった部分が似てきてしまう。
関心の向け方、感情の動き、判断の基準などが夫婦のそれぞれに影響を与えあって、単に同じものを食べ、生計を同じくしているということ以上に、夫婦は似てくるものなのだというのが、結婚10年を経た私の実感だ。
 
 
同じようなことは、テレビとの間でも起きているということを、テレビを見なくなって同じく10年経った私は感じるようになった。
 
人の感情の動きや言葉使い、服装、髪型、関心の向き方などが、テレビからの大きな影響を受けていることは、テレビを見なかったが故にはっきりと見えてきたのだ。
 
芸能人そっくりに決めたファッション。
あわただしいばかりの感情の動き。
決められた方向性に収束していくだけの関心領域。
 
テレビがなければまったく違う感情を持ち、関心を持ち、個性を持っていたはずの人びとがテレビという道具の出現によって、大いに操作されている。
 
配偶者のように強い影響力を私たちに与えてくるテレビという存在。
多くの場合、ほとんど無意識のうちに影響を与える存在でもある。
 
このような道具は、おそらく、法律で厳しく禁じるべき性質のものなのではないだろうか。