糖尿病は薬なしで治せる (角川oneテーマ21) (日本語) 新書 – 2004/9/10 渡辺 昌 (著)

糖尿病といっても自覚症状のない高血糖症の状態で、膵臓の機能がそれほど低下していないときに、食べ物と運動によって血糖値をコントロールすることで、一病息災を得る。薬の副作用についての説明もわかりやすい。


こうした本の多くは、読み進めていくと、著者の提供している高額な商品やサービスの宣伝に行きつくことが多いものですが、本書は違いました。商品名を特定しないで簡易血糖値測定器の使用が推奨されている点を除き、特に強く勧められている器具や、高額な食品などはありません。なお、本書の記述は、2型糖尿病が対象です。

著者は、医者ではありますが、糖尿病の専門医ではありません。著者自身が血糖値の高さから糖尿病と診断され、薬を使わない方法による対処を選んだ経験と、その裏付けとなる理屈が記されています。特に、薬に頼ってインシュリンの分泌を増やそうとすることは、ガタのきた自動車に無理をさせて、数年後にはどうにもならなくなってしまう一方で、無理をさせないように食事に気を付け、食後30分の軽い運動によって血糖値の上昇を抑える方法をとることは、一病息災につながるという説明はわかりやすく感じました。

合併症や自覚症状の出てきた状態を糖尿病、それ以前の血糖値が高いだけの状態を高血糖症として区別すべきともあります。高血糖症の状態が長く続くことで糖尿病になりますが、薬に頼らず、本書にあるような食事と運動による対策をとれば高血糖状態から脱却できます。本書を読むと、糖尿病は、薬で治せるものではなく、全身の状態を改善しなくてはならないということもよくわかります。

抹消血管のつまりを防ぐには、血液の送り出しで対処するのではなく、毛細結果の側で流れをよくする必要があります。そのためには、西式健康法で勧めている、お湯と水で交互に刺激することが有効であるそうです。

食べ物についても大まかに記されているだけで細かい規定はないので、それほど苦労することなく、対応できそうな内容になっています。果物は体によさそうですが、特に近年ではどんどん甘くなっているため、推奨されてはいません。また、野菜だけでは、老化が早そうだという記述など、全体的に納得のいく内容になっていました。薬に関する章だけは専門用語の多さから読むに少し時間がかかりましたが、他の章はすらすらと読むことができました。

すでに糖尿病の症状が出ている場合でも、読んでおくとよい本かと思います。