郷土文化 通巻66号(尾張百姓苗字帯刀/信参鉄道/舌出し円空/伊勢門水法会など)

郷土文化 通巻66号
郷土文化 通巻66号

目次

蜀紅錦安藤軾先生……………………吉川芳秋(1)
尾張藩百姓苗字帯刀の覚書…………….中村保夫(5)
鍵谷徳三郎先生……………………..坪丼忠彦/吉田富夫(11)
御洒落伝刊行法会の次第………………松村静雄(17)
行基寺行…………………………..小川善三郎(21)
三美鉄道及び信三鉄道の史料について……村瀬正章(25)
寛永の逆修塔二件……………………吉田富夫(29)
舌出し円空と木喰五行………………..森徳ー郎(31)
尾張藩が切支丹で金をもうけた話…..森徳ー郎(32)
東海北陸近鐵民俗芸能大会を観る……….坪井忠彦(34)
彙報……………………………………..(35)
編集後記

昭和36年発行 38ページ

内容について

蜀紅錦安藤軾先生」は、私立名古屋商業学校、岡崎師範学校などで教職にあった、故安藤軾氏を偲んだ内容です。
尾張藩百姓苗字帯刀の覚書」は、史料を元に尾張藩における苗字と帯刀の実情についての考察が記されています。
鍵谷徳三郎先生」では、山口県出身の教育者であり、郷土史家でもあった同氏について、前半は「教育者としての鍵谷徳三郎先生」として坪井氏が、後半は「高蔵貝塚調査の先覚者鍵谷徳三郎氏のこと」として吉田富夫氏が執筆されています。
御洒落伝刊行法会の次第」では、日本画家伊勢門水氏の法要を営むにあたり、遺言に基づいて編纂して頒布した「御洒落伝」について記されています。御洒落はオシャラクと表記してあります。
行基寺行」は郷土文化会の催しで見学に訪れた岐阜県海津郡南濃町の浄土宗臥竜山行基寺の訪問記です。
三美鉄道及び信三鉄道の史料について」では、手元に資料があるとして、市古春平から計画立案の中心人物である岡本八右衛門に当てた手紙が収録されています。神戸市イ、エチハンダー会社の調査に基づき、新川(碧南市)から拳母を過ぎ、瀬戸を経て高蔵寺に至ることとし、まず新川から拳母までの工事を実施して、拳母からは信三鉄道として信州に至ろうとする計画に変更されたとあります。
寛永の逆修塔二件」では、春日井市の密蔵院と大須の宝生院の逆修塔について宗派と場所を異にしながら一致符号することについて記されています。
舌出し円空と木喰五行」では、鶴舞図書館で開催された尾張所在円空写真展及講演会で散会後に千種区城山町の松尾禎三氏から見せられた舌を出した円空仏(優婆塞)についてと、木喰五行上人の作品を称揚していた柳宗悦が円空仏に着眼し始めたことを受けて、両者の違いを記してあります。写真を収録。
尾張藩が切支丹で金をもうけた話」は、幕末の安政年間に藩財政の窮乏から一定の献金をしたものに一代限りの名字帯刀を許した尾張藩で、「宗門自分一札」(宗門改めの対象とならず、自らの届け出によって証明できる)も対象となり、計152人が許されたことが記されています。