食生活と身体の退化―未開人の食事と近代食・その影響の比較研究 (1978年)

1930年代、近代人における虫歯の広まりと身体の退化を食い止めようと、未開人社会を調査したW.A.プライス博士

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

要約が公開されているようなので、まずご覧ください。

写真を見ていくと、近代食の影響の大きさに驚かされます。親の世代は遺伝的に健康で、しっかりした歯の持ち主ばかりであっても、近代食を食べ始めた第一世代の子どもたちでさえ、すっかり乱杭歯になっています。食の近代化の影響は、徐々に出現するのではなく、ただちに出現するのでしょう。

食を調べていくと三大栄養素は結局同じものであり、むしろ少量のミネラル類が重要であるという結論に至るようです。本書でも、遺伝子が正常に働くためにもミネラル類が不可欠であることが指摘されています。しかし、近代食では精製が進んだことや、内臓の摂取が減ったことなどが原因となって、ミネラル類は大幅に不足しがちであり、野生動物を食べなくなったことや、缶詰野菜などの登場も、人の食事を貧しくしています。食事の影響は本人だけでなく子孫にも及んでいます。

本書を読むと、未開生活では、環境の多様性にもかかわらず、住民が健康を保ち、歯と顎の発達が確保されていることがわかります。

フッ素に関する記述もあり、フッ素を虫歯予防に利用することが近年注目されているとして、炭水化物を制御する作用を期待しているのであろうとする一方で、フッ素の毒性やフッ素が過剰である土地で起きている障害を指摘して、フッ素による処置は万能薬ではないと結ばれています。


2010年に増補改訂版『食生活と身体の退化―先住民の伝統食と近代食その身体への驚くべき影響』が出ていますが、現時点では高額な中古のみの流通になっています。


本来の生命を開花させるには、母なる自然に従うことです