「夢学(ユメオロジー)―創造的な夢の見方と活用法」パトリシア・L. ガーフィールド (著), 花野 秀男 (翻訳)(白揚社 1993年2月)

悪夢にうなされる代わりに、自分のみる夢に意識的に影響を及ぼして、夢を人生に積極的に活用していく こともできるのだ 

→目次など

 

睡眠や夢は、だれもが体験していながら、なぜ人は眠り、夢を見るのかについてはほとんどわかっていないというのが実際のところではないでしょうか。

この本では、古代ギリシア、東南アジアのセノイ族、北米のインディアンなどと夢とのかかわり方や、夢が発明や創作活動につながった人たちの事例をあげながら、主に夢の文化的な側面が探られています。

たとえば、発明や創作活動につながるような夢をみる方法は割と簡単です。眠りにつく直前まで、その作業に没頭することでそうした夢を見る可能性が高まります。

普段からどのような夢を見たいのかを具体的にイメージすることは、実際に夢の内容に影響を与えることができます。悪夢にうなされたとしても、現実ではないことを知って悪夢に打ち勝つ工夫をすれば悪夢は消えていきます。

セノイ族は、夢を見て活用することを強化する文化を作り上げています。たとえば、夢の中での喧嘩したとき、その話を夢での喧嘩相手と実際に分かち合うことで、もめ事を平和的に解決するなどして、穏やかな社会を作り上げているようです(そうした部族は数を増やしてはいませんが)。

他方で、インディアンと夢との関りは、セノイ族が夢を操作しようとしていくのとは逆で、夢によってヴィジョンを授かり、生涯にわたって苦難に立ち向かい、霊力を高めるものとして扱われています。ただし、そうした夢を得るには、普通に眠るのではなく、苦しみと向き合う必要もあるのです。

ときどきみだらな夢を見ます。そうしたとき、夢の中で快楽をむさぼることは、精神を安定させるためにも役立つようです。

人は一晩に4回から5回夢を見ますが、すべての夢を覚えていることはまれでしょう。けれど、よく夢を見るという自覚のあるかたは、こうした夢との関り方を知ることで、人生を豊かにしていくことができるかもしれません。

内容の紹介

 

夢コントロールの原則
  さて、一般に肉体の機能は、随意のものと不随意のものにはっきり分けられていると思われがちであった。腕は動かせても、消化機能までは左右できないといった具合である。
  しかし現在では、以前はコントロールできないと思われていた肉体の働きでも、実際にはコントロールできることが明らかになりつつある。ヨガ行者がすでに何百年間も実践してきたことを、現代科学はいま発見しはじめたところなのだ。夢研究室の人びとは、バイオフィードバックのテクニック(生体の自動制御機能の応用)を使って、自分の血圧を調整したり、胃のなかの胃液分泌量を自分でコントロールしたり、あるいは脳のアルファ波の周波数を増大させたりしている。 – 32ページ

確かに、夢をコントロールするということは、消化機能をコントロールすることなどに近いのかもしれません。