郷土文化 通巻162号(有松絞株仲間法/終戦ビラなど)

2019年3月23日

郷土文化 通巻162号
郷土文化 通巻162号

目次

『古事記』.六国史に見る古代の尾張年表(1)……….横井在時編(1)
音楽寺(旧大乘院)布目瓦の考察………………….瀧 喜義(12)
「山田長政の出自」考説(補遺)………………….水谷盛光(19)
尾張藩の参勤交代について(下)………………….櫻井芳昭(37)
東海道鳴海宿新助郷村々書上……………………榊原邦彦(45)
有松絞株仲間法についての一考察………………..高木 生(50)
尾張藩主齊朝卿在国御行状
中山七大夫「後凋軒見聞目録」より…………….中山文夫(57)
尾張富士の「石上げ祭り」の伝説
大呂浅間神社犬山市字居士山………………….木立英世(72)
名古星の探偵小説家(三)岡戸武平………………..斎藤 亮(74)
終戦を早めた “一枚のビラ”…………………….水谷盛光(80)
飜刻 『山田右門日記』(中)…………………….植松 茂(87)

平成3年発行 96ページ

内容について

「『古事記』.六国史に見る古代の尾張年表(1)」では、『古事記』と六国史(『日本書紀』『続日本記』『日本後紀』『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三大実記』)から、神武天皇から光孝天皇仁和三年(八八七年)までの古代尾張関係の歴史的事項が編年体で配列されています。

「有松絞株仲間法についての一考察」では、天保五年(1834)の尾張国知多郡有松村の「絞染職取締定箇条書」および「絞染職株定之事」を題材として、株仲間法について法制史の立場から考察されています。領主は株仲間を庇護することで冥加金を得るとともに産業を統制しており、株仲間法は領主法の制約を受ける一方で、株仲間は伝統・格式を重んじながら繁栄を願う点で自治的規範といえるであろうと結ばれています。

「終戦を早めた “一枚のビラ”」では、終戦直前に現在の名古屋競馬場(土古競馬場)にあった高射砲中隊に所属していた著者が8月13日に米軍機から散布されて所有してきたビラのコピーと全文書き写しが収録されています。「追記」によると、同年になって荷物の底から見つけ、市内のある日刊新聞社編集局の知友にコピーと入手経路を添えて送付したところ、新聞記事にはならなかったものの、同年の終戦記念日に同じビラについてNHKニュース21で放映されたとあります。このビラは日本各地で投下されたようで「私共は本日皆様に爆弾を投下するために来たのではありません」という文字列を検索することで画像を見つけることができます。「終戦の詔書」のコピーもこの記事に収録されています。