「新・健康学「偏食」のすすめ―ヒトは果物を食べるように生まれついている」 永楽 和重(教育評論社 2006年10月)

2019年3月21日

体が喜び健康になる食事法 

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味付けをしたり調理をしたりしなければ食べられない食物は、本来の食ではない。
だから人間は雑食動物ではなく、果物と生野菜を中心とする動物である。

これを知るだけでも十分に読む価値のある本です。
我が家では、果物を常備して、朝は果物のみにしています。
おかげで、体重が安定し、スナック菓子を食べる頻度が下がり、風邪をひきにくくなりました。

本書は、人という存在の本来の生き方を探るきっかけとしてもよい本です。
穀物が人の本来の食べ物ではないことを知り、調味料も本来は不要であることを知り、調理によって失われる栄養の多さを知ることは、 普段の生活の中でいつの間にか常識となっていた事柄に疑問を持つために役立つでしょう。

また、本書に従って果物中心の食生活を実践してみると、熱帯から離れた人類は、 果物を得られる季節が限られた地域でどのように暮らせばよいのかという課題も抱えていることがわかります。
ぜひ一度お読みになることをお勧めします。

なお、果物、野菜、生食などを中心とする健康法については『あと40年健康を保つ 自然食の効力』も参考になります。
こちらのほうがずっと早く書かれており、長寿者も採用した健康法です。
また、チンパンジーと共通の祖先から人類が別れた契機として、ヤマイモを食べるようになったことがあると考える人もあります(『動物の「食」に学ぶ』(新版あり))。

2019/3/21追記

霊長類のサイズと食性を調べると、小型霊長類では昆虫食が多く、大型になるほど植物の葉や茎を多く食べるようになっています。つまり、果物はあまり主食にはなっていません。人類の本来の生き方と思われる狩猟採集者たちも、肉を本物の食べ物と呼んでいます。また、最近の果物は、品種改良や施肥によって本来の果物とは別物になっています。こうした点を加味して読む必要がありそうです。